ドメーヌ・ド・ラ・セネシャリエール AOCを捨て、独自の道を突き進む、圧倒的な輝きを放つ生産者!! |
ワイン造りに並々ならぬ情熱を燃やしているドメーヌ・ド・ラ・セネシャリエールの4代目オーナー、マルク・ペノ氏。彼は自ら「ワインのオートクチュール」と呼んでいるいくつかの独自の方法で、香り高くフレッシュでしかもコクもしっかりある、たいへん個性豊かなワインを造り出しています。 ペノ家は1890年頃からナントの地でワインを代々造り続けてきた家柄。 ペノさんがまだ駈け出しだった頃、他の国々の白ワインの中に自分たちのワインも交ぜて地元の生産者仲間と目隠しで試飲をしてみました。結果、自分たちの造るミュスカデの評価が最も低く、ペノさんは、その味わいの酸っぱさ、薄っぺらさに驚愕します。「自分たちは、なんて酸っぱくて不味いワイン を造っていたんだろう」 と思ったそうです。 その後、美味しいワインを造ると評判の生産者と交流を図り、ジャック・ネオポール、マルセル・ラピエール、フィリップ・パカレなど、後に世界的に有名になる自然派の先駆けとなった造り手たちから触発され、様々な試みを行うようになります。 セネシャリエールがワイン造りを行うエリアは、ロワールのミュスカデで有名なペイ・ナンテ地区。ここは、雨などのリスクが高いため、十分に熟す前に収穫を行う生産者が多いのですが、ペノさんは 葡萄が完熟するまで、忍耐強くじっくりと待ち、完全に熟した葡萄を使いワインを造り上げます。 それが、他のミュスカデでは、絶対に味わう事が出来ないあの、コッテリした涙、ハチミツ風味、グリセ リンっぽいコクを持ち、完全に熟しながらも酸味は残る、この地と、ペノさんならではの 他では絶対に味わえないワインとなります。 訪問させて頂いた、2017年についてもお話しをお伺いしましたが、雹や病気などで、ペノさんの所でも、20%以上の畑が被害にあったそうです。それでも、尚、高いリスクを伴う手法を取り続ける姿に、一切のブレを 感じさせない、究極のワイン職人の姿を見ました。 |
■独自の醸造法:「ニュイタージュ」の紹介
ペノ氏は、「ワインのオートクチュール」と呼んでいるセネシャリエール独特の醸造方法で、「ニュイタージュ」により、品種の個性を生かした香り高く豊かなコクのあるミュスカデ造りを目指しています。 ナント地区ではまだ誰も取り組んでいない「ニュイタージュ」は、醸造を始めると夜中も醗酵槽につきっきりとなる大変な重労働(「ニュイタージュ」はフランス語の「ニュイ(=夜中)」からペノ氏が造った言葉)で、通常の10倍以上の労力が掛かります。ワイン造りに全力を尽くすペノ氏だからできる、今後が注目される方法。 ペノ氏は、良いワイン造りはまず丹念に、そして素早く厳選したぶどうが必要だと考え、果汁が空気に触れて香りを失わないよう、収穫したぶどうをプラスティックケースに入れて潰れないよう注意しながら運搬。次に葡萄を除梗せずに丸ごと醗酵槽に入れ、ドライアイスを入れて温度を5℃位にし、温度は最終的に12℃前後に維持。炭酸ガスによって空気との接触を遮断した状態を6〜7時間保つ。するとぶどう粒の細胞内でゆっくりと還元的醗酵(酸素が無い条件の元で起こる醗酵、本人は「フェルマンタシオン・アロマティック」と命名)が始まります。 この処置をすることによって 【1】葡萄皮の裏にあるポリフェノールが無理無く抽出され、香りと旨味が最大限に表現される 【2】低温でしか活動しない数種類の自然酵母が、短期間に入れ替わりで醗酵活動するという効果が挙げられる。 6〜7時間後、真夜中の3時頃に手作業で(金属もポンプも使用せず)葡萄を取り出してプレスにかけます。 1回目と2回目のジュースのみをタンクに入れて20時間の清澄作用を行い、次に醗酵槽に移して17〜18℃で低温自然醗酵を行います。この時酵母菌は全て自然酵母のみで、亜硫酸も一切添加しません。腐敗果が混ざっていないからこそ、亜硫酸無添加で醸造ができるのです。 |
訪問当日は、心からのおもてなしを頂き ロワールでも最も海に近いエリアとい う事もあり、魚介類を出して頂きペノさんのお料理と合わせました。 これが、素晴らしくピッタリ♪ ツアーに参加して頂いた皆様も凄く楽しそうで、素晴らしいひと時でした。 ペノさんは、今後の新たな取り組みについてもお話しをされていて、ムロン・ド・ブルゴーニュ(ロワールではミュスカデは、この名前) と樽を合わせた新しいスタイルのワインなど、今後も挑戦をし続けて行くとの事です。 もちろん、昔から の「農薬撒かない」、「化学肥料も使わない」、「除草剤も使わない」を守りながらです。 是非、本気のミュスカデワインをご 賞味頂ければと思います!驚かれると思います!! |
■ドメーヌ・ド・ラ・セネシャリエール ラ・ボエーム[2022]
【産地】フランス/ロワール/ミュスカデエリア 【格付】VDT 【使用品種】ムロン・ド・ブルゴーニュ100% 【使用酵母】土着の野生酵母 【醗酵・マセラシオン】亜硫酸無添加で20日間醗酵。 【熟成方法】タンクで約9ヵ月熟成。このうち2ヵ月間、バトナージュを週2回行なう。 【タイプ】白ワイン・ややコクのある辛口 ラ・ボエームとは、「勝手気ままな人生を送る人」、「自由人」という意味。AOCの枠から出て、自由にワインを造る道を選んだペノ氏の生き方を象徴するネーミング。ラベルのデザインは、世界的に有名なベルギーの漫画「タンタンTINTIN」の作者によるもの。 ハチミツのように優しく甘い香りが魅力的。通常すっきり、さっぱりタイプのミュスカデが多く、シュール・リーによる複雑性がなかなかのってこないものが多いが、ペノ氏のワインはコクと豊かな果実香が特徴です。 |